アメジローの岩波新書の書評(集成)

岩波新書の書評が中心の教養読書ブログです。

このブログ全体のための最初のノート

今回から新しく始める「アメジローの岩波新書の書評」。本ブログ「岩波新書の書評」は全7カテゴリーよりなります。「政治・法律」「経済・社会」「哲学・思想・心理」「世界史・日本史」「文学・芸術」「記録・随筆」「理・医・科学」です。

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最後に。大江健三郎による1960年代の最初の全エッセイ集「厳粛な綱渡り」(1965年)初版の単行本は二段組で全500ページほど。大江の1960年代の思想と文学と行動と生活がこの一冊にびっしり細かに丁寧に書き込まれている。評論・書評・ルポルタージュ、講演・インタビュー、広告文・コラム、日記・雑記…内容は多彩である。「何でもあり」なバラエティブックの様相である。書籍自体も辞書のようで非常に厚くて重い。私は本書を日々携帯し繰り返しよく読んでいたのだが、本書の書き出しは「この本全体のための最初のノート」であった。全六部を経ての巻末は、もちろん「この本全体のための最後のノート」である。大江健三郎「厳粛な綱渡り」全エッセイ集は私にとって昔から非常に感じのよい、もはや手離すことの出来ない極上書籍で愛読の内の一冊だ。

大江「厳粛な綱渡り」の「この本全体のための最初のノート」の中で「どのようなエッセイが良質なそれか」という問いに、大江健三郎は次のように答えている。「権威の声でかたっていない赤裸のエッセイであるにもかかわらず、あきらかに人間的な威厳の感じられる文章である」と。「そしてそのような文章にいたることがもっとも困難な技術だ」ともしている。当ブログの書評文において私は、「権威の声でかたっていない赤裸のエッセイであるにもかかわらず、あきらかに人間的な威厳の感じられる文章」が書けるよう日々、自分を律し修練を重ねていきたいと切に思う。大江健三郎には全くもって及ばないが、私も「このブログ全体のための最後のノート」記事をいつの日か書くだろうか。

岩波新書に愛を込めて。(2021・4・1記)