アメジローの岩波新書の書評(集成)

アメリカン・ショートヘアのアメジローです。岩波新書の書評が中心の教養読書ブログです。

2021-04-01から1日間の記事一覧

このブログ全体のための最初のノート

今回から新しく始める「アメジローの岩波新書の書評」(※これまでに書き溜めてきた書評記事の厳選集成であり、以前に別の場所でやっていたブログをそのまま移動しているため全く同じ文章があります。しかし、それは赤の他人の第三者によるコピーとか盗作・剽…

私に命令をするな←(笑)

いちばんはじめの書評をめぐるコラム

私は若い頃から「図書新聞」をよく購読し、昔から書評やブックレビューの読みものを楽しんで読んでいた。私は自分で書評ブログを始める際、これまで他人の書評を日常的に読み、かつ研究した結果、自身に課したことがいくつかあった。 (1)自分の身辺雑記や個…

岩波新書の書評(471)メチニコフ「近代医学の建設者」

私が住んでいる街には、私が気に入った古書店が何件かある。私は定期的にそれら古書店をひやかし半分で覗(のぞ)き、時に古書を買い求めたりするのだが先日、その内の一軒(カモシカ書店!)を覗いたら店頭の特価本の棚に戦前の岩波新書の旧赤版、メチニコ…

岩波新書の書評(470)高橋英夫「友情の文学誌」

岩波新書の赤、高橋英夫「友情の文学誌」(2001年)の概要は以下だ。 「文学者へ成長する漱石と子規。鴎外が遺書筆録を託した賀古鶴所。『近さ』からドラマを生んだ芥川たち。志賀直哉ら、師を持たない白樺派の世代。漢詩の世界、ギリシア・ローマ以来の言説…

岩波新書の書評(469)大島藤太郎「国鉄」

一般に「国鉄」とは、国が保有し、または経営する鉄道事業のことをいうが、日本においては特に「日本国有鉄道」の略称として用いられる。 最近の若い人は、もしかしたら知らないかもしれないが、現在各地域(北海道、東日本、東海、西日本、四国、九州)にあ…

岩波新書の書評(468)岡本良一「大坂城」

大坂城は、戦国時代に上町台地の先端、摂津国東成郡生玉荘大坂に築かれた。大坂城は上町台地の北端に位置する。別称は「錦城(きんじょう)」。現在の大阪城は1930年代に再築されものである。「大阪城跡」として国の特別史跡に指定されている。また城址を含…

岩波新書の書評(467)千葉雅也「現代思想入門」

(今回は、講談社現代新書の千葉雅也「現代思想入門」についての書評を「岩波新書の書評」ブログですが、例外的に載せます。念のため、千葉雅也「現代思想入門」は岩波新書ではありません。) 昨今、人気で売れているという講談社現代新書の千葉雅也「現代思…

岩波新書の書評(466)五木寛之「日記」

以前に岩波新書に執筆し上梓して好評人気で跳(は)ねて、出版部数が伸びメディアにも頻繁に取り上げられ話題になったことを受けて、編集部依頼で岩波新書から連続して二冊目以降を出す運びになるも、前作が大ヒットの先例実績かあるため、「とりあえず今回…

岩波新書の書評(465)小畠郁生「恐竜はなぜ滅んだか」

恐竜は、約二億五000万年前(中世代三畳紀中期)に出現したものがその起源とされている。その後、長きに渡り陸上脊椎(せきつい)動物の頂点に立ったが、約六五00万年前(中世代白亜紀末期)の大量死滅により、鳥類(恐竜の中で唯一の現存群である鳥類…

岩波新書の書評(464)加藤陽子「満州事変から日中戦争へ」

岩波新書の赤、加藤陽子「満州事変から日中戦争へ」(2007年)は、2006年から順次刊行が始まり2010年に完結した岩波新書「シリーズ日本近現代史」全10巻の中の第5巻に当たるものだ。本書は幕末、維新より敗戦、高度成長に至るまでの近現代の日本通史の中で…

岩波新書の書評(463)向井和美「読書会という幸福」

岩波新書の赤、向井和美「読書会という幸福」(2022年)は、翻訳家であり学校図書館の司書も務めているという著者が、読書会の良さ(「読書会という幸福」)や読書会が成功する進め方(「読書会を成功させるためのヒント」)らを、自身の経験から読み手に伝…

岩波新書の書評(462)和田春樹「ペレストロイカ」

近代ロシア史とソビエト連邦史が専門の歴史家、和田春樹による岩波新書の旧ソ連関連書籍には以下の三冊があった。「私の見たペレストロイカ」(1987年)と「ペレストロイカ・成果と危機」(1990年)と「歴史としての社会主義」(1992年)である。 1980年代末…

岩波新書の書評(461)青野太潮「パウロ」

岩波新書の赤、青野太潮「パウロ」(2016年)は、初期キリスト教の使徒であり、新約聖書の著者の一人であったパウロに関する新書である。パウロその人については、 「パウロ(紀元前後─60年頃)。最も重要な使徒とされる人物。パリサイ派に属し、キリスト教…

岩波新書の書評(460)野坂昭如「科学文明に未来はあるか」

野坂昭如(1930─2015年)は、作家で歌手・作詞家であり、タレントや政治家でもあって様々な分野で活躍した多才な人であったが正直、私は昔からこの人には尊敬も感心もできず、あまり好きになれないのである。 野坂昭如といえば、今でもネット上に動画で残っ…

岩波新書の書評(459)稲泉連「ドキュメント 豪雨災害」

岩波新書の赤、稲泉連「ドキュメント・豪雨災害」(2014年)は「豪雨災害」をテーマとしたルポタージュである。2011年9月、和歌山県と奈良県と三重県を襲った台風11号は100名近い犠牲者を出す大水害を紀伊半島各地にもたらした。本書はノンフィクション作家…

岩波新書の書評(458)田中優子 松岡正剛「江戸問答」

岩波新書の赤、田中優子・松岡正剛「江戸問答」(2021年)の概要はこうだ。 「江戸問答とは、江戸の社会文化から今に響きうる問いを立てることである。近世から近代への転換期に何が分断され、放置されたのか。面影、浮世、サムライ、いきをめぐる、時間・場…

岩波新書の書評(457)芝健介「ヒトラー」

岩波新書の赤、芝健介「ヒトラー」(2021年)のタイトルにもなっているヒトラーについて、20世紀を生きてきた現代の人なら彼のことを知らない人はいないとは思うが、念のため確認しておくと、 「アドルフ・ヒトラー(1889─1945年)は、オーストリア生まれの…

岩波新書の書評(456)坂本義和「軍縮の政治学」

著作や対談など、「平和学」を志向する国際政治学者の坂本義和(1927─2014年)の文章や発言を読むたび昔から私には、「この人は反戦平和を主張する自らの政治的立場や国際政治学の言説に対し、右派保守論壇や軍備増強論の国家主義者たちから『現実離れをした…

岩波新書の書評(455)塩沢美代子「結婚退職後の私たち」

岩波新書の青、塩沢美代子「結婚退職後の私たち・製糸労働者のその後」(1971年)の概要は以下だ。 「15、6歳で製糸工場に就職した女性たちの結婚退職後を追う。二百余名の主婦たちの生活の実態と、厳しい労働条件のもとで過した経験が、彼女たちにどのよう…

岩波新書の書評(454)立石博高「スペイン史10講」

一国の歴史を古代から近現代まで新書の一冊で全10講の内に一気に書き抜こうとする岩波新書の「××史10講」シリーズである。もともと本企画は、坂井榮八郎「ドイツ史10講」(2003年)と柴田三千雄「フランス史10講」(2006年)と近藤和彦「イギリス史10講」(2…

岩波新書の書評(453)永六輔「大往生」

既刊の古典を中心とした「岩波文庫」に対し、書き下ろし作品による一般啓蒙書を廉価で提供することを目的として1938年に創刊された「岩波新書」である。こうした日本で最初の新書形態となった長い歴史を持つ伝統ある岩波新書の中で、歴代で最高発行部数の新…

岩波新書の書評(452)柳父章「翻訳語成立事情」

外国や他地域から異文化の制度、技術、宗教、学問らを輸入摂取する際に、もともと自国の文化にそれに対応した言葉がないために新しく新語を造語したり、これまでにあった自国の言葉に別の意味・用法を加えて改変する必要が生じる、いわゆる「翻訳問題」とい…

岩波新書の書評(451)天畑大輔「〈弱さ〉を〈強み〉に」

岩波新書の赤、天畑大輔「〈弱さ〉を〈強み〉に」(2021年)の表紙カバー裏解説は以下だ。 「四肢マヒ、発話・視覚・嚥下(えんげ)障がい、発話困難。中学の時、突然重度障がい者となった著者は独自のコミュニケーション法を創り、二四時間介助による一人暮…

岩波新書の書評(450)川島武宜「日本人の法意識」

1945年8月15日の日本の敗戦に伴う大日本帝国の崩壊に際して、これまでの狂信的な天皇制ファシズムの軍国主義を批判し、さらには明治維新にまでさかのぼり近代日本全体を反省的に総括して、その上で今後の日本社会の民主化を新たに進めようとした戦後日本の知…

岩波新書の書評(449)江川紹子「『カルト』はすぐ隣に」

過去に私自身や私の家族や親族や知り合いで、いわゆる「カルト」の新興宗教や詐欺的グループや過激派政治団体に入信したり加入した人はいない。これは自分にとって誠に幸運なことであって、逆にそういった「カルト」に身近な人が入信・加入した人はとても気…

岩波新書の書評(448)多木浩二「戦争論」

今にして思えば、岩波新書の多木浩二「天皇の肖像」(1988年)は、さすがに名著であった。 視覚上位の近代の時代において「見る・見られる」の人的関係に「支配・被支配」の権力支配の構造を見切って、しかもその視覚にまつわる権力現象を、近代日本の天皇制…

岩波新書の書評(447)安岡章太郎「アメリカ感情旅行」

岩波新書の青、安岡章太郎「アメリカ感情旅行」(1962年)の書き出しはこうだ。「私は一昨年(一九六0年)ロックフェラー財団の留学生として十一月二十六日に羽田をたち、翌年五月十七日にかえってきた。その間ほとんどテネシー州のナッシュヴィルにおり、…

岩波新書の書評(446)田中克彦「ことばと国家」

岩波新書の黄、田中克彦「ことばと国家」(1981年)は、歴代の岩波新書の中での名著としてよく推薦され、学生が読むべき必須の課題図書に定番で指定されるような昔から有名な書籍である。本書の概要は以下だ。「だれしも母を選ぶことができないように、生ま…

岩波新書の書評(445)梅本克己「唯物史観と現代」

ある人の生涯最後の上梓や絶筆は、それがどのようなものであっても無心に読まれるべきものがある。その書物には著者の生の存在の全てが、最期に渾身(こんしん)の力の重みをもって賭けられているような気がするからだ。岩波新書の青、梅本克己「唯物史観と…