2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧
今回から新しく始める「アメジローの岩波新書の書評」(※これまでに書き溜めてきた書評記事の厳選集成であり、以前に別の場所でやっていたブログをそのまま移動しているため全く同じ文章があります。しかし、それは赤の他人の第三者によるコピーとか盗作・剽…
私は若い頃から「図書新聞」をよく購読し、昔から書評やブックレビューの読みものを楽しんで読んでいた。私は自分で書評ブログを始める際、これまで他人の書評を日常的に読み、かつ研究した結果、自身に課したことがいくつかあった。 (1)自分の身辺雑記や個…
東南アジアは、アジアのうち南シナ海周辺に位置する国々を指す地域区分である。インドシナ半島、マレー半島、インドネシア諸島、フィリピン諸島とその他の群島部よりなり、ほとんどの地域が年中高温の熱帯気候に属する。 地図上で見ると、東南アジアは右上の…
岩波新書の赤、大江健三郎「親密な手紙」(2023年)は岩波書店の月刊誌「図書」に2010年から2013年まで連載された、各人についての思い出を語る大江の文章を収録したものである。 「窮境を自分に乗り超えさせてくれる『親密な手紙』を、確かに書物にこそ見出…
(今回の「岩波新書の書評」はタイトルとは異なり、中公新書の源了圓「徳川思想小史」について、例外的の載せます。念のため、源了圓「徳川思想小史」は岩波新書ではありません。岩波新書は日本で最初に創刊された新書で全般に優れた名作良著が多いが、後発…
一般に「××とは何か」というタイトルの書籍は、「××とは××である」とする著者による主張の定義文を押さえれば一応は読み切れたといえる。岩波新書の赤、渡辺洋三「法とは何か・新版」(1998年)においても、「法とは××である」の著者の主張文をまず押さえる…
近代の主流派経済学といえば古典派経済学であり、古典派経済学とは「労働価値説」(人間の労働が価値を生み、労働が商品の価値を決めるという理論)を理論的基調とする経済学の総称である。「古典派経済学以外に新古典派経済学の区分も必要ではないか」「例…
岩波新書の黄、池上嘉彦「記号論への招待」(1984年)は、まずそのタイトルが私には昔から強く印象に残る。「記号論への招待」で、「招待」である。「記号論入門」とか「記号論概説」ではないのだ。記号論の初歩を初学者にも分かりやすく伝える「入門」や、…
岩波新書の黄、芹沢長介「日本旧石器時代」(1982年)に関連させて、日本の原始時代の考古学上からする時代区分論の概要を確認しておこう。 まず土器の使用別による文化的時代区分がある。縄文土器が使われた時代は「縄文文化」(約1万3000年前から前4世紀…
カナダの有能な外交官であり、かつ優れた日本近代史の研究者であったハーバート・ノーマンの日本近代史研究の著作には、岩波文庫の「日本における近代国家の成立」(1947年、岩波文庫での再刊は1993年)、同岩波文庫の「クリオの顔・歴史随想集」(1956年、…
カナダの有能な外交官であり、かつ優れた日本近代史の研究者であったハーバート・ノーマンが好きだ。私は昔からノーマンの日本史研究の著作を愛読している。ノーマンその人については、 「エドガートン・ハーバート・ノーマン(1909─57年)はカナダの外交官…
「集団的自衛権」とは、「ある国家が武力攻撃を受けた場合、直接に攻撃を受けていない第三国が共同で防衛対処する国際法上の国家の権利」のことをいう。直接に攻撃を受けている他国を第三国が援助し、これと共同で武力攻撃にて対処する、つまりは攻撃を受け…
一般に「××のかたち」といえば、そのものの実体や全体像を表す比喩として間接的に用いられる。例えば「新しい家族のかたち」とか、それこそ司馬遼太郎「この国のかたち」というように。ところが岩波新書の赤、保阪正康「昭和史のかたち」(2015年)は、昭和…
映画人(俳優、監督、プロデューサー、脚本家、カメラマン、美術技師ら)に関する書籍の中で映画監督・黒澤明(1910─98年)についてのものは、他の人に比べ圧倒的に多い。ただ黒澤明の評伝や黒澤作品の映画批評など、監督デビューから晩年までの黒澤の複数作…
岩波新書の「シリーズ・歴史総合を学ぶ」全三巻は、2022年4月から全国の高等学校で始まる「歴史総合」の新科目導入に合わせて、「歴史総合」授業の実践の方法とその可能性を、具体的個々の歴史素材の教材研究を通して指し示そうとするものである。今般、新た…
岩波新書の赤、十重田裕一(とえだ・ひろかず)「川端康成・孤独を駆ける」(2023年)のタイトルになっている川端康成その人について、念のため確認しておくと、 「川端康成(1899─1972年)は、新感覚派(自然主義的リアリズムに反発し感覚的表現を主張した…
私は教育学部出身ではないが、大学で教員免許取得のために「教育学概論」「発達心理学」ら教育系統の科目は履修していた。その際に講義を聴講しながら、また大学卒業後も「教育とは何か」「教育の本質とは!?」について、自分なりによく考えていた。教育学系…
(今回は、講談社現代新書、坂本賢三「『分ける』こと『わかる』こと」 についての書評を「岩波新書の書評」ブログですが、例外的に載せます。念のため、坂本賢三「『分ける』こと『わかる』こと」は岩波新書ではありません。) 私が高校生の時の1980年代の…
2022年より岩波書店から新訳の新たな「スピノザ全集」全六巻が順次刊行・配本されている。岩波新書の赤、國分功一郎「スピノザ・読む人の肖像」(2022年)は、その新版の「スピノザ全集」刊行に合わせた今般、全集を購読して全巻読もうとする人に向けた「ス…
岩波新書の赤、廣野由美子「ミステリーの人間学」(2009年)は、副題に「英国古典探偵小説を読む」とある通り、ドイルの「シャーロック・ホームズ」やチェスタトンの「ブラウン神父」シリーズ、クリスティの「アクロイド殺し」「オリエント急行殺人事件」の…
岩波全書の南博「行動理論史」(1976年)のタイトルになっている「行動理論」に関する基本の考え方はこうだ。 まず人間個人を特定の環境・時代状況下にあるブラックボックス(函数)と捉える。彼はブラックボックスであるので、特定の環境や時代状況下にて外…
私は、一応は大学進学はしたけれど経済学部出身ではないし、大学で本格的に経済学を学んだ経験もない。しかし、なぜか杉本栄一「近代経済学史」(1953年)と内田義彦「経済学史講義」(1961年)が過去に自己流で読み散らかした経済学の書籍の中で特に自分の…
岩波全書の岡義武「国際政治史」(1955年)は、ヨーロッパ近代の国際政治の歴史を概観したものである。本書は第一章の「ヨーロッパにおける国際社会の成立」の欧州にて主権国家の成立たる絶対主義の出現より始まり、市民革命から帝国主権へ、さらには全体主…
私が大学進学する前、まだ10代だった頃、日本近代文学を専攻して本格的に学んでいる人が、自分の学生時代には「近代とは何か、西洋の個人主義を本当の意味で理解するには、何よりもキリスト教を学び知っていなければならない」と指導教授に言われ、大学院生…
1938年に創刊の「岩波新書」は全て新作の書き下ろしで、時代社会の状況や世相に対応した話題の分野のトピックも含め、学術専門的な事柄でも初学の初心者にも分かりやすいよう「入門」の体裁で出されるものも多く、時代と共に歩んで一般読者に向け新書形態の…
大学の物理学専攻の学部に進学志望であったり、将来物理の高等知識が必要な専門職種を希望するわけではない、あくまで一般教養として物理学を知っておきたい人が取り組むべき物理は次の2つであるように思える。 1つは、高校物理レベルの教科書や大学受験問…
岩波新書の青、島田虔次「朱子学と陽明学」(1967年)のタイトルになっている朱子学、陽明学のそれぞれの概要をまずは確認しておこう。 朱子学─宋の時代に朱熹(しゅき・朱子ともいう)によって大成された儒教で「新儒教」とされ、特に彼の名をとって「朱子…
(今回は、中公新書の加地伸行「儒教とは何か」についての文章を「岩波新書の書評」ブログですが、例外的に載せます。念のため、加地伸行「儒教とは何か」は岩波新書ではありません。) 今日、儒教とは何かを知りたい人には、そのままのタイトルである中公新…
儒教は、古代中国の孔子(前551頃─479年)を祖として、その孔子の教えを継承し発展させた思想・学派の総称である。孔子は、春秋戦国時代末期の魯(ろ)の曲阜(きょくふ・山東省)の人で周の政治を理想とし、魯の国政改革に参加したが失敗して諸国を巡歴した…