アメジローの岩波新書の書評(集成)

岩波新書の書評が中心の教養読書ブログです。

2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧

このブログ全体のための最初のノート

今回から新しく始める「アメジローの岩波新書の書評」。本ブログ「岩波新書の書評」は全7カテゴリーよりなります。「政治・法律」「経済・社会」「哲学・思想・心理」「世界史・日本史」「文学・芸術」「記録・随筆」「理・医・科学」です。 お探しの記事やお…

真面目で堅実な人が一番えらい(継続して人知れず努力できる)

実績自慢の自己宣伝が過ぎる外張りの人よりも、人間は継続して人知れず努力できる真面目で堅実な人が一番えらい。

いちばんはじめの書評をめぐるコラム

私は若い頃から「図書新聞」をよく購読し、昔から書評やブックレビューの読みものを楽しんで読んでいた。私は自分で書評ブログを始める際、これまで他人の書評を日常的に読み、かつ研究した結果、自身に課したことがいくつかあった。 (1)自分の身辺雑記や個…

岩波新書の書評(529)西山太吉「沖縄密約」

岩波新書の赤、西山太吉「沖縄密約」(2007年)の表紙カバー裏解説には次のようにある。 「日米の思惑が交錯した沖縄返還には様々な密約が存在した事が、近年相次いで公開された米公文書や交渉当事者の証言で明らかになりつつある。核持ち込み、基地自由使用…

岩波新書の書評(528)三上智恵「証言 沖縄スパイ戦史」

(今回は、集英社新書の三上智恵「証言・沖縄スパイ戦史」についての書評を「岩波新書の書評」ブログですが、例外的に載せます。念のため、三上「証言・沖縄スパイ戦史」は、岩波新書ではありません。) 先日、三上智恵「証言・沖縄スパイ戦史」(2020年)を…

岩波新書の書評(527)富永茂樹「トクヴィル」

岩波新書の赤、富永茂樹「トクヴィル」(2010年)には私が尊敬する好きな人物が二人いる。一人は本書のタイトルになっているトクヴィルであり、もう一人は本書の著者である富永茂樹である。 まずトクヴィルについて。アレクシス・ド・トクヴィル(1805─59年…

岩波新書の書評(526)西林克彦「わかったつもり」

(今回は、光文社新書の西林克彦「わかったつもり・読解力がつかない本当の原因」についての書評を「岩波新書の書評」ブログですが、例外的に載せます。念のため、西林克彦「わかったつもり」は光文社新書で、岩波新書ではありません。) 私は今ではあまり人…

岩波新書の書評(525)瀬戸賢一「日本語のレトリック」

岩波ジュニア新書の瀬戸賢一「日本語のレトリック」(2002年)は副題が「文章表現の技法」であり、本書は様々な文章表現技法を30の型にまとめたものである。 「『人生は旅だ』『筆をとる』『負けるが勝ち』『一日千秋の思い』…。ちょっとした言い回しやたく…

岩波新書の書評(524)富岡儀八「塩の道を探る」

岩波新書の黄、富岡儀八「塩の道を探る」(1983年)のタイトルにある「塩の道」の概要はこうだ。 「塩の道とは、塩を内陸に運ぶのに使われた道のこと。また反対に内陸からは、山の幸(山の食料や木材や鉱物)が運ばれた道でもある。製塩が化学製法に代わり専…

岩波新書の書評(523)北山茂夫「藤原道長」

近年、放映のNHK大河ドラマに「光る君へ」(2024年)があった。本作は、平安時代の摂関政治期が舞台であり、紫式部が主役、藤原道長が相手役の準主役となっている。紫式部、藤原道長ともにこの時代の代表的人物として有名だが、実のところその全貌にはいまだ…

岩波新書の書評(522)岡本隆司「李鴻章」

近年、岩波新書の新赤版にて、中国近代史専攻の岡本隆司による「評伝三部作」とでもいうべき近代中国の人物に関する新書が出ている。「李鴻章・東アジアの近代」(2011年)と「袁世凱・現代中国の出発」(2015年)と「曾国藩・『英雄』と中国史」(2022年)…

岩波新書の書評(521)中野敏男「ヴェーバー入門」

(今回は、ちくま新書の中野敏男「ヴェーバー入門」についての書評を「岩波新書の書評」ブログですが、例外的に載せます。念のため、中野敏男「ヴェーバー入門」は岩波新書ではありません。) 2020年は社会科学者であるマックス・ヴェーバー(1864─1920年)…

岩波新書の書評(520)今野元「マックス・ヴェーバー」

2020年は社会科学者であるマックス・ヴェーバー(1864─1920年)の没後百年の節目に当たり、ヴェーバー関連の書籍が数多く刊行された。今回の「岩波新書の書評」で取り上げる新赤版の今野元「マックス・ヴェーバー」(2020年)も、そのうちの一冊である。 「…

岩波新書の書評(519)川名壮志「記者がひもとく『少年』事件史」

岩波新書の赤、川名壮志「記者がひもとく『少年』事件史」(2022年)の表紙カバー裏解説文は次のようになっている。 「白昼テロ犯・山口二矢、永山則夫、サカキバラ、…。殺人犯が少年だとわかるたびに、報道と世間は、実名か匿名か、社会の責任か個人の責任…

岩波新書の書評(518)「シリーズ中国近現代史」全6巻

近年の岩波新書は中国史関連の書籍が充実している。19世紀の清朝から始まる現代までの中国史概説である「シリーズ中国近現代史」全6巻(2010─17年)を、それとなく手に取り、全巻読了して弾切れになった所で、今度は、黄河文明の古代から清朝の19世紀までを…

岩波新書の書評(517)田中彰「小国主義」(その3 石橋湛山)

前々回、岩波新書の赤、田中彰「小国主義」(1999年)の書評を書いた。本新書の中で「近代日本の小国主義の系譜」として中江兆民と石橋湛山が紹介されていたので、前回と今回で中江と石橋について改めて個別に書いてみたい。 岩波文庫に「中江兆民評論集」(…

岩波新書の書評(516)田中彰「小国主義」(その2 中江兆民)

前回、岩波新書の赤、田中彰「小国主義」(1999年)の書評を書いた。本新書の中で「近代日本の小国主義の系譜」として中江兆民と石橋湛山が紹介されていたので、今回と次回で中江と石橋について、特に「小国主義」という観点にとらわれることなく自由に書い…

岩波新書の書評(515)田中彰「小国主義」(その1)

岩波新書の赤、田中彰「小国主義」(1999年)は、タイトルの「小国主義」の反対である「大国主義」を「国際関係において、大国が自国の強大な力を背景に小国を圧迫する態度」「経済力・軍事力にすぐれた国がその力を背景に小国に臨む高圧的な態度」という辞…

岩波新書の書評(514)川喜田二郎「発想法」

(今回は、中公新書の川喜田二郎「発想法」についての書評を「岩波新書の書評」ブログですが、例外的に載せます。念のため、川喜田二郎「発想法」は岩波新書ではありません。) 川喜田二郎「発想法」(1967年)は、昔からよく読まれている書籍で有名である。…

岩波新書の書評(513)ドイッチャー「ロシア革命五十年」

前回に引き続き今回も「ロシア革命」についての話である。 ヨーロッパ近代史を本質的に知るには、それぞれに各地域で起こった市民革命を中心に学ぶのが有効だ。西洋近代において、特に注目すべき革命はイギリス革命(ピューリタン革命+名誉革命)、アメリカ…

岩波新書の書評(512)クリストファー・ヒル「レーニンとロシヤ革命」

「季節と読書」の関係で言うと毎年、夏の暑い盛りの八月になると、太平洋戦争ら先の日本の戦争についての書籍をなぜか読みたくなる。これは私が紛(まぎ)れもない日本人であるからに相違ない。同様に冬の寒い季節になると、今度はロシア革命に関する書籍を…

岩波新書の書評(511)出口治明「生命保険とのつき合い方」

岩波新書の赤「生命保険とのつき合い方」(2015年)の著者である出口治明については、 「出口治明(1948年─)は日本の実業家。訪問商談の保険外交員をなくした直販のネット通販型の保険会社であるライフネット生命保険株式会社の創業者。一時は立命館アジア…

岩波新書の書評(510)東大作「ウクライナ戦争をどう終わらせるか」

岩波新書の赤、東大作「ウクライナ戦争をどう終わらせるか」(2023年)のタイトルとなっている「ウクライナ戦争」とは、2022年2月からのロシアによるウクライナ侵攻を指す。 2022年2月24日、ロシア大統領のウラジーミル・プーチンはウクライナへの「特別軍事…

岩波新書の書評(509)米原謙「徳富蘇峰」

(「岩波新書の書評」ですが、中公新書の米原謙「徳富蘇峰・日本ナショナリズムの軌跡」に関連して、今回は徳富蘇峰について書きます。念のため、米原謙「徳富蘇峰・日本ナショナリズムの軌跡」は岩波新書ではありません。) 徳富蘇峰(1863─1957年)は明治…

岩波新書の書評(508)竹内実「毛沢東」

「毛沢東(1893─1976年)は中国共産党、中華人民共和国の最高指導者。湖南省出身。反軍閥運動・農民運動を行って頭角を現し、1921年、中国共産党の設立に参加した。31年創立された中華ソヴィエト共和国臨時政府の主席になり、長征の途上の遵義会議で党内の主…

岩波新書の書評(507)古田元夫「東南アジア史10講」

東南アジアは、アジアのうち南シナ海周辺に位置する国々を指す地域区分である。インドシナ半島、マレー半島、インドネシア諸島、フィリピン諸島とその他の群島部よりなり、ほとんどの地域が年中高温の熱帯気候に属する。 地図上で見ると、東南アジアは右上の…

岩波新書の書評(506)大江健三郎「親密な手紙」

岩波新書の赤、大江健三郎「親密な手紙」(2023年)は岩波書店の月刊誌「図書」に2010年から2013年まで連載された、各人についての思い出を語る大江の文章を収録したものである。 「窮境を自分に乗り超えさせてくれる『親密な手紙』を、確かに書物にこそ見出…

岩波新書の書評(505)源了圓「徳川思想小史」

(今回の「岩波新書の書評」はタイトルとは異なり、中公新書の源了圓「徳川思想小史」について、例外的の載せます。念のため、源了圓「徳川思想小史」は岩波新書ではありません。岩波新書は日本で最初に創刊された新書で全般に優れた名作良著が多いが、後発…

岩波新書の書評(504)渡辺洋三「法とは何か 新版」

一般に「××とは何か」というタイトルの書籍は、「××とは××である」とする著者による主張の定義文を押さえれば一応は読み切れたといえる。岩波新書の赤、渡辺洋三「法とは何か・新版」(1998年)においても、「法とは××である」の著者の主張文をまず押さえる…

岩波新書の書評(503)伊東光晴「ケインズ」

近代の主流派経済学といえば古典派経済学であり、古典派経済学とは「労働価値説」(人間の労働が価値を生み、労働が商品の価値を決めるという理論)を理論的基調とする経済学の総称である。「古典派経済学以外に新古典派経済学の区分も必要ではないか」「例…