経済・社会
外国語学習に際しての語学習得のコツについて、「継続は力なり。習うより慣れよの反復練習を繰り返せ」とか、「語学力は実戦で鍛えられる。とりあえず実際に聞いて話して書いての経験を積め」などとよく言われるが、そういった単なる「反復の慣れ」や「実戦…
岩波新書の赤、竹内悊(たけうち・さとる)「生きるための図書館」(2019年)の概要は以下だ。「人に寄り添い、本の声を届ける。子どもにも大人にも、図書館は多様な場であり、図書館員はそこで本との出会いをつくる。公立図書館設立への原動力となった文庫…
岩波新書の黄、千野栄一「外国語上達法」(1986年)の概要はこうだ。「外国語コンプレックスに悩む一学生は、どのようにして英・独・仏・チェコ語をはじめとする数々のことばをモノにしていったか。辞書・学習書の選び方、発音・語彙・会話の身につけ方、文…
(今回は、講談社現代新書、速水敏彦「他人を見下す若者たち」についての書評を「岩波新書の書評」ブログですが、例外的に載せます。念のため、速水敏彦「他人を見下す若者たち」は岩波新書ではありません。) 私の感慨としてどうも最近、他人を見下す人が多…
時代が「平成から令和へ」移り変わる際に、これまでの「平成」の日本社会の歴史を振り返り総括しておこうとする企画の書籍が各出版社から多く出された。岩波新書の赤、吉見俊哉「平成時代」(2019年)は岩波書店による、そうした企画の内の一冊である。本書…
現役のプロ野球選手や引退後の監督・コーチや評論家、各チームや特定選手に付いている番記者ら、いわゆる「野球人」による野球に関する書籍はだいたい誰の何を読んでも面白い。現役時代は巨人の内野手であり、引退後にヤクルトと西武の監督をやって優勝させ…
私は昔から酒が好きで、しかも体質的に酒に強い。いくら痛飲しても酔っ払って記憶が飛んだとか、翌日に二日酔いの頭痛や不調に悩まされた経験がない。だから今でもほぼ毎日、飲酒する。酒飲みというのは、自宅で晩酌すると長時間飲んできりがなく家人に嫌わ…
「ヘイトスピーチ」について、岩波新書の赤、師岡康子「ヘイト・スピーチとは何か」(2013年)によれば、その定義は以下だ。 「広義では、人種、民族、国籍、性などの属性を有するマイノリティの集団もしくは個人に対し、その属性を理由とする差別的表現であ…
岩波新書の赤、古厩忠夫(ふるまや・ただお)「裏日本」(1997年)のタイトルになっている「裏日本」とは、本州の日本海地域、とりわけ北陸・山陰地方のことを指す。主な県名でいえば北陸の新潟と富山と石川と福井、山陰の鳥取と島根の各県ということになる…
(今回は、立花隆「ぼくはこんな本を読んできた」についての書評を「岩波新書の書評」ブログではあるが、例外的に載せます。念のため、立花「ぼくはこんな本を読んできた」は岩波新書ではありません。) 昨今では読書論や読書術の書籍が多く出されているが、…
私は高校卒業後に普通自動車第一種運転免許の四輪を取得したら、原動機付自転車の二輪免許も自動的に付いてきたので、10代の頃から原付二輪に乗っていた。昔から乗り続けて今でも乗っている。私の場合、原付の車種は昔から「ホンダ・カブ」一択で、カブを乗…
岩波新書の黄、佐久間充「ああダンプ街道」(1984年)の概要はこうだ。「建築資材や埋立てに使われる山砂の主産地、千葉県君津市ではこの二十年、丘陵が次々に削られ、一日に四千台も通るダンプカーが沿道住民に騒音、振動、交通災害や粉じんによる健康破壊…
岩波新書の青、宇沢弘文「自動車の社会的費用」(1974年)は昔から広く知られ、よく読まれている名著である。本新書に対しては「戦後日本の自動車中心社会に対する警鐘批判」への共感と、それとは逆張りの「著者も時に自動車を利用し日常的に自動車社会の恩…
「地震予知」とは、地震の発生を予(あらかじ)め知ることだ。より厳密に学術的に言えば次のようになる。「地震予知とは、科学的方法により地震発生の時期・場所・規模の三要素を論理立てて『予測』することである」この「地震予知」定義にて特に重要なのが…
2011年の東日本大震災による地震動と津波の被害を受けて、東京電力の福島第一原子力発電所は炉心溶融(メルトダウン)の放射性物質漏(も)れ過酷事故を起こす。そこで事後に、東京電力の社長や会社幹部が口をそろえて「このような高い津波は実際に来ないと…
2000年代以降の岩波新書の力作の良著で私にまず思い浮かぶのは、吉見俊哉「大学とは何か」(2011年)だ。本新書は内容もさることながら、著者の吉見俊哉の硬質な文章がよい。失策のない社会科学の硬い文体であり、考察内容はともかく文章記述がよいだけでそ…
岩波新書の黄、森嶋通夫「イギリスと日本」(1977年)は当時かなり好評人気で広く読まれたらしく、後に同じ岩波新書から「続・イギリスと日本」(1978年)も出ている。また「岩波新書のオールタイム・ベスト」のような読書アンケート企画にて、森嶋「イギリ…
10代の中高生向け読み物のジュヴナイルである岩波ジュニア新書は、1979年の創刊で2019年には創刊40年の節目を迎える。その際にジュニア新書編集部が創刊40年記念冊子として出したのが「ホンキのキホン・岩波ジュニア新書読書ガイドブック」(2019年)であり…
皆さんは普段、読書で「次はどんな本を読もうか」迷い考えるとき、何を参考にされてますか?岩波新書に関する限り、私は岩波新書の赤、岩波書店編集部編「岩波新書をよむ」(1998年)を参照して「次はこの新書を読んでみよう」とか、「以前に読んだけれど内…
先日、岩波新書ジュニア新書の眞淳平(しん・じゅんぺい)「人類の歴史を変えた8つのできごとⅠ ・言語・宗教・農耕・お金編」(2012年)と「人類の歴史を変えた8つのできごとII・民主主義・報道機関・産業革命・原子爆弾編 」(2012年)を読んでみた。岩波ジ…
岩波新書の赤、藤原辰史「給食の歴史」(2018年)の表紙カバー裏解説文は次のようになっている。「学校で毎日のように口にしてきた給食。楽しかった人も、苦痛の時間だった人もいるはず。子どもの味覚に対する権力行使ともいえる側面と、未来へ命をつなぎ新…
「平成の終焉」は、天皇明仁(あきひと)による退位の意向表明にて始まった。2016年7月のNHKニュースにて第一報が流され、翌8月に天皇自身がテレビに出演しビデオメッセージとして「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」を読み上げた。その後、…
戦前昭和に出版された岩波新書の赤、土屋喬雄(つちや・たかお)「日本資本主義史上の指導者たち」(1939年)は、一読して正直「あまり面白くない」。本書は「日本資本主義史上の指導者たち」として、近代日本の資本主義的発展に貢献した人々を各章ごとに挙…
ある書籍が残念ながら、それ一冊で内容に熱狂出来なかったり読みごたえに欠けたりする場合、その一冊のみで完結させず、他の類著と読み比べてみたり、シリーズものであるなら前著や次著との断絶・連続性を意識して読み進める工夫の「読書の楽しみ」がある。…
岩波新書の赤「戦争体験と経営者」(2018年)の著者・立石泰則は、本新書上梓時には企業取材を始めて約四十年になるという。そんな著者による岩波新書「戦争体験と経営者」の概要はこうだ。これまで立石が出会って取材した企業経営者をいま一度振り返り彼ら…
岩波新書の赤、大日方純夫(おびなた・すみお)「警察の社会史」(1993年)の概要は以下だ。 「日露戦争直後、東京市の警察署の八割が襲撃される日比谷焼打ち事件がおきた。だが、わずか十数年後、関東大震災では『自警団』が登場し、民衆はすすんで『治安』…
堤未果が現代アメリカの病理をえぐる渾身(こんしん)のルポタージュ「貧困大国アメリカ」は、三部作構成で岩波新書から出ている。「ルポ貧困大国アメリカ」(2008年)と「ルポ貧困大国アメリカⅡ」(2010年)と「(株)貧困大国アメリカ」(2013年)である。そ…
「スポーツアナウンサー」といえば、1970年代生まれの私には80年代にアントニオ猪木の新日本プロレスの金曜夜8時のテレビ中継が絶頂人気で、その際の古舘伊知郎の実況が定番だったりする。当時は小学生で今でもよく覚えているが、「アントニオ猪木の鉄拳制…
以前にNHKスペシャル「トラック・列島3万キロ・時間を追う男たち」(2004年)という秀逸ドキュメンタリーがあった。より早く、より効率的に、一方でより安全に。物流が急速に変化する中、トラック業界では生き残りを賭(か)けた競争が続いていた。睡眠を極…
人間そのものの醜悪さや人間社会の不条理を鋭い問題意識と手慣れた論証手腕とによって明白にし過ぎているため、一読してよく出来た良書とは思うのだけれど読んでいてあまりに辛(つら)い、正直面白くない書籍が時にある。岩波新書の赤、平岡昭利「アホウド…