アメジローの岩波新書の書評(集成)

アメリカン・ショートヘアのアメジローです。岩波新書の書評が中心の教養読書ブログです。

経済・社会

岩波新書の書評(317)速水敏彦「他人を見下す若者たち」

(今回は、講談社現代新書、速水敏彦「他人を見下す若者たち」についての書評を「岩波新書の書評」ブログですが、例外的に載せます。念のため、速水敏彦「他人を見下す若者たち」は岩波新書ではありません。)私の感慨としてどうも最近、他人を見下す人が多…

岩波新書の書評(313)吉見俊哉「平成時代」

時代が「平成から令和へ」移り変わる際に、これまでの「平成」の日本社会の歴史を振り返り総括しておこうとする企画の書籍が各出版社から多く出された。岩波新書の赤、吉見俊哉「平成時代」(2019年)は岩波書店による、そうした企画の内の一冊である。本書…

岩波新書の書評(312)島秀之助「プロ野球審判の眼」

現役のプロ野球選手や引退後の監督・コーチや評論家、各チームや特定選手に付いている番記者ら、いわゆる「野球人」による野球に関する書籍はだいたい誰の何を読んでも面白い。現役時代は巨人の内野手であり、引退後にヤクルトと西武の監督をやって優勝させ…

岩波新書の書評(311)高須俊明「酒と健康」

私は昔から酒が好きで、しかも体質的に酒に強い。いくら痛飲しても酔っ払って記憶が飛んだとか、翌日に二日酔いの頭痛や不調に悩まされた経験がない。だから今でもほぼ毎日、飲酒する。酒飲みというのは、自宅で晩酌すると長時間飲んできりがなく家人に嫌わ…

岩波新書の書評(310)師岡康子「ヘイト・スピーチとは何か」

「ヘイトスピーチ」について、岩波新書の赤、師岡康子「ヘイト・スピーチとは何か」(2013年)によれば、その定義は以下だ。 「広義では、人種、民族、国籍、性などの属性を有するマイノリティの集団もしくは個人に対し、その属性を理由とする差別的表現であ…

岩波新書の書評(301)古厩忠夫「裏日本」

岩波新書の赤、古厩忠夫(ふるまや・ただお)「裏日本」(1997年)のタイトルになっている「裏日本」とは、本州の日本海地域、とりわけ北陸・山陰地方のことを指す。主な県名でいえば北陸の新潟と富山と石川と福井、山陰の鳥取と島根の各県ということになる…

岩波新書の書評(300)立花隆「ぼくはこんな本を読んできた」

(今回は、立花隆「ぼくはこんな本を読んできた」についての書評を「岩波新書の書評」ブログではあるが、例外的に載せます。念のため、立花「ぼくはこんな本を読んできた」は岩波新書ではありません。)昨今では読書論や読書術の書籍が多く出されているが、…

岩波新書の書評(298)奥村正二「火縄銃から黒船まで」

私は高校卒業後に普通自動車第一種運転免許の四輪を取得したら、原動機付自転車の二輪免許も自動的に付いてきたので、10代の頃から原付二輪に乗っていた。昔から乗り続けて今でも乗っている。私の場合、原付の車種は昔から「ホンダ・カブ」一択で、カブを乗…

岩波新書の書評(296)佐久間充「ああダンプ街道」

岩波新書の黄、佐久間充「ああダンプ街道」(1984年)の概要はこうだ。「建築資材や埋立てに使われる山砂の主産地、千葉県君津市ではこの二十年、丘陵が次々に削られ、一日に四千台も通るダンプカーが沿道住民に騒音、振動、交通災害や粉じんによる健康破壊…

岩波新書の書評(285)高護「歌謡曲」

岩波新書の赤、高護(こう・まもる)「歌謡曲」(2011年)はサブタイトルが「時代を彩った歌たち」であり、1960年代から1980年代までの30年間を10年単位で区切り、「(1)各年代での『歌謡曲』の発展の歴史と特性についての時代ごとの考察、(2)個々の作品の基…

岩波新書の書評(283)宇沢弘文「自動車の社会的費用」

岩波新書の青、宇沢弘文「自動車の社会的費用」(1974年)は昔から広く知られ、よく読まれている名著である。本新書に対しては「戦後日本の自動車中心社会に対する警鐘批判」への共感と、それとは逆張りの「著者も時に自動車を利用し日常的に自動車社会の恩…

岩波新書の書評(281)茂木清夫「地震予知を考える」

「地震予知」とは、地震の発生を予(あらかじ)め知ることだ。より厳密に学術的に言えば次のようになる。「地震予知とは、科学的方法により地震発生の時期・場所・規模の三要素を論理立てて『予測』することである」この「地震予知」定義にて特に重要なのが…

岩波新書の書評(279)添田孝史「原発と大津波 警告を葬った人々」

2011年の東日本大震災による地震動と津波の被害を受けて、東京電力の福島第一原子力発電所は炉心溶融(メルトダウン)の放射性物質漏(も)れ過酷事故を起こす。そこで事後に、東京電力の社長や会社幹部が口をそろえて「このような高い津波は実際に来ないと…

岩波新書の書評(276)吉見俊哉「大学とは何か」

2000年代以降の岩波新書の力作の良著で私にまず思い浮かぶのは、吉見俊哉「大学とは何か」(2011年)だ。本新書は内容もさることながら、著者の吉見俊哉の硬質な文章がよい。失策のない社会科学の硬い文体であり、考察内容はともかく文章記述がよいだけでそ…

岩波新書の書評(268)森嶋通夫「イギリスと日本」

岩波新書の黄、森嶋通夫「イギリスと日本」(1977年)は当時かなり好評人気で広く読まれたらしく、後に同じ岩波新書から「続・イギリスと日本」(1978年)も出ている。また「岩波新書のオールタイム・ベスト」のような読書アンケート企画にて、森嶋「イギリ…

岩波新書の書評(260)岩波ジュニア新書編集部「ホンキのキホン」

10代の中高生向け読み物のジュヴナイルである岩波ジュニア新書は、1979年の創刊で2019年には創刊40年の節目を迎える。その際にジュニア新書編集部が創刊40年記念冊子として出したのが「ホンキのキホン・岩波ジュニア新書読書ガイドブック」(2019年)であり…

岩波新書の書評(258)岩波書店編集部「岩波新書をよむ」

皆さんは普段、読書で「次はどんな本を読もうか」迷い考えるとき、何を参考にされてますか?岩波新書に関する限り、私は岩波新書の赤、岩波書店編集部編「岩波新書をよむ」(1998年)を参照して「次はこの新書を読んでみよう」とか、「以前に読んだけれど内…

岩波新書の書評(255)眞淳平「人類の歴史を変えた8つのできごと」

先日、岩波新書ジュニア新書の眞淳平(しん・じゅんぺい)「人類の歴史を変えた8つのできごとⅠ ・言語・宗教・農耕・お金編」(2012年)と「人類の歴史を変えた8つのできごとII・民主主義・報道機関・産業革命・原子爆弾編 」(2012年)を読んでみた。岩波ジ…

岩波新書の書評(252)藤原辰史「給食の歴史」

岩波新書の赤、藤原辰史「給食の歴史」(2018年)の表紙カバー裏解説文は次のようになっている。「学校で毎日のように口にしてきた給食。楽しかった人も、苦痛の時間だった人もいるはず。子どもの味覚に対する権力行使ともいえる側面と、未来へ命をつなぎ新…

岩波新書の書評(245)原武史「平成の終焉」

「平成の終焉」は、天皇明仁(あきひと)による退位の意向表明にて始まった。2016年7月のNHKニュースにて第一報が流され、翌8月に天皇自身がテレビに出演しビデオメッセージとして「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」を読み上げた。その後、…

岩波新書の書評(242)土屋喬雄「日本資本主義史上の指導者たち」

戦前昭和に出版された岩波新書の赤、土屋喬雄(つちや・たかお)「日本資本主義史上の指導者たち」(1939年)は、一読して正直「あまり面白くない」。本書は「日本資本主義史上の指導者たち」として、近代日本の資本主義的発展に貢献した人々を各章ごとに挙…

岩波新書の書評(241)柴田徳衛「東京」

ある書籍が残念ながら、それ一冊で内容に熱狂出来なかったり読みごたえに欠けたりする場合、その一冊のみで完結させず、他の類著と読み比べてみたり、シリーズものであるなら前著や次著との断絶・連続性を意識して読み進める工夫の「読書の楽しみ」がある。…

岩波新書の書評(236)立石泰則「戦争体験と経営者」

岩波新書の赤「戦争体験と経営者」(2018年)の著者・立石泰則は、本新書上梓時には企業取材を始めて約四十年になるという。そんな著者による岩波新書「戦争体験と経営者」の概要はこうだ。これまで立石が出会って取材した企業経営者をいま一度振り返り彼ら…

岩波新書の書評(235)大日方純夫「警察の社会史」

岩波新書の赤、大日方純夫(おびなた・すみお)「警察の社会史」(1993年)の概要は以下だ。「日露戦争直後、東京市の警察署の八割が襲撃される日比谷焼打ち事件がおきた。だが、わずか十数年後、関東大震災では『自警団』が登場し、民衆はすすんで『治安』…

岩波新書の書評(233)堤未果「(株)貧困大国アメリカ」

堤未果が現代アメリカの病理をえぐる渾身(こんしん)のルポタージュ「貧困大国アメリカ」は、三部作構成で岩波新書から出ている。「ルポ貧困大国アメリカ」(2008年)と「ルポ貧困大国アメリカⅡ」(2010年)と「(株)貧困大国アメリカ」(2013年)である。そ…

岩波新書の書評(227)山本浩「スポーツアナウンサー」

「スポーツアナウンサー」といえば、1970年代生まれの私には80年代にアントニオ猪木の新日本プロレスの金曜夜8時のテレビ中継が絶頂人気で、その際の古舘伊知郎の実況が定番だったりする。当時は小学生で今でもよく覚えているが、「アントニオ猪木の鉄拳制…

岩波新書の書評(215)首藤若菜「物流危機は終わらない」

以前にNHKスペシャル「トラック・列島3万キロ・時間を追う男たち」(2004年)という秀逸ドキュメンタリーがあった。より早く、より効率的に、一方でより安全に。物流が急速に変化する中、トラック業界では生き残りを賭(か)けた競争が続いていた。睡眠を極…

岩波新書の書評(210)平岡昭利「アホウドリを追った日本人」

人間そのものの醜悪さや人間社会の不条理を鋭い問題意識と手慣れた論証手腕とによって明白にし過ぎているため、一読してよく出来た良書とは思うのだけれど読んでいてあまりに辛(つら)い、正直面白くない書籍が時にある。岩波新書の赤、平岡昭利「アホウド…

岩波新書の書評(202)宇野弘蔵「資本論の経済学」

例えば西洋哲学史や日本史概説など、ある特定テーマの研究書籍は、今さら新規な大発見や「目から鱗(うろこ)」の大胆な読み直し解釈など不可能で、だいたい誰が執筆しても似通った内容になってしまう。そういった意味で、この手の内容書籍では「誰が書いて…

岩波新書の書評(197)日野行介「福島原発事故 被災者支援政策の欺瞞」

岩波新書の赤、日野行介「福島原発事故・被災者支援政策の欺瞞」(2014年)の表紙カバー裏には次のようにある。「福島原発事故をめぐって、被ばくから自主避難者(母子)や子どもを守るべく作られた法律は、なぜ、どのようにして骨抜きにされたのか。現場か…